不幸ではない、ただ幸せと大声で言えないが。 「不幸じゃないだけでいいか……」 不幸が大きすぎた分、今の生活は気に入り、またその一部たる彼とて必要に思えた。 不幸じゃなければ幸福だ。それがどんなに手に入りにくいことか。 ――そういえば。 ふと思う。 ――いつから。 不幸じゃなくなったのかと。 考えた際に、一瞬、彼の姿がよぎったのだった。