「しないしない。シチューなんて簡単だし。ただの煮込み料理だ。俺の手料理を“一番に”ミナナに食べてほしいから、味見はしなかったんだ」
――味見も“食べる”になるんだ。
行為から見れば“食べる”だろうが、“一番に食べさせたい”の願いを挫く行為ではないだろう。
腹を壊さなければいいかと、ミナナはこの際、味に関しては厳しいことは言わないでおこうと決めた。
わざわざ作ってもらったタダ飯を粗末にするほどミナナは贅沢をしない。
無駄を嫌うというよりは、もったいない精神なのだろう。
やがて温まったか、シチューが器に盛られ、机に置かれる。
盛り付けが良く、にんじんの橙。ブロッコリーの緑の配色が絶妙だった。


