彼の青バラタトゥーはデザインが懲りすぎて、一種の芸術だ。それを消す羽目になるのは彫り師もやりたくないだろう。
「次に新しい人ができたら、めんどくさいことになりますよ」
タトゥーを消す――というよりは焼く行為はかなり痛く、時間がかかるらしいとミナナの知識にはあった。
忠告めいたことをすれば、彼はないないと言う。
「俺はミナナしか愛さないから」
「……」
――本当なんだから、すごいんだよなぁ。
未来なんて分かるわけがない。人間である以上、心変わりがあるに違いないのに彼が言えば真実に聞こえてしまう。
実際にこの青バラは“その証”なんだろう。
体に彼女の名前を書くとは、他の女のものにならないと言っているようなもの。
誰が知らない女の名前が入った男の体を抱くか、興ざめもいいところだし、仮にも彼を好きになる女がいたとしてもあのタトゥーを見せれば『割り込む隙なし』と諦めるに違いない。


