――そりゃあ、彫った人は聞くだろうなぁ。
もしもこれがよく使われるような慣用句めいたものや、字面だけがいいものならばいいが、“女の名前”では『こいつアホだ』と思われたに違いない。
彫られた文字はミナナの名前。
間違えようもないスペルには、軽く引いた。
知らぬ女の名前となれば彼女の名前と誰もが予想するだろう。
愛する者の名前をタトゥーにしたい奴はいるかもしれないが、大概は一時の熱にすぎない。
そいつを愛することに飽きて、いざ別の恋人を作ったとしたら、新しい恋人に元カノの名前入りタトゥーなど見せられないだろう。
見せたならば『誰よこれ!』なんて修羅場になるに違いない。
だからこそ、そんな一時の愛に踊らされた奴が『消してください』と来るのであっては、彫り師にしてみればせっかく作った作品をと残念がるに違いない。


