濡らした指先はローションまでとはいかないが、滑りをよくした。
揉みほぐしながら人差し指をちょいちょいと滑らす。
唇は彼女の口へ。
体を触られたからか息が少し荒くなっていた。
――大丈夫だよな。
息が荒くなるとは空気を求める行為だ。なのに二つある呼吸器官の内、一つをふさいでしまっていいものかとカルツは寸でで止まった。
彼女の吐く息がカルツの鼻を通る。
ふっくらした唇――と、彼女は無縁だ。おしゃれ等にうといというより「くだらない」と言う彼女に美容の概念はない。
荒れた唇とは言わないが、少し乾燥した唇を見て、濡らしてあげた。
自分の指先を舐めたように。自分の舌を使って乾燥した彼女の唇を潤した。


