【夢を見るなら最後まで】
ベッドで横たわる彼女は絵本の一枚絵のように穏やかに見えた。
すうすうと息をするのを見れば、寝ていた方が大人しくいくぶんか幼く可愛く見えたのだ。
もっとも、カルツにとってどんな彼女も“好き”の対象になるが。
「ミナナ」
起こすつもりはない。ただ名を呼びたかった。
意味はない。意味を求めることはせず、満足を求めた。
彼女は起きようとしない。
――安心、しているんだよね。
手の甲で彼女の頬をこする。もっちりとまでは行かないが、柔らかな反動が軽くあった。
物音に敏感たる彼女が今ので起きないのは殺し屋をしているくせに不用心なと思われそうだが、隣にカルツがいるからと身を任せているだけだった。


