「殺さないんですね」
「殺してほしいの?」
「いえ、生きられるならそちらを選びたい」
彼がやっていることを知る。
マーキングらしく、この女はある男に独占されていると痕で表現しているらしい。
確かに首筋にこんなにも痕を残せば、寄ってくる男はいないだろう。
よっての話だ。
こんな独占の形を残すであっては、殺せば見せびらかすことはできずに意味がなくなる。
ミナナはまだ死なないらしい。
「どれぐらい続けるんですか」
「百個」
「がんばってください」
さぞや唇と舌がひりひりすることだし、子供じみた数がなぜだか微笑ましく思った。
微かに笑ったのを彼は聞き逃さなかったらしく、俺はこんなにイラついているのにといった拗ねた顔をしてこちらを見てきたので。


