笑いかけてくれます。優しい声だけど、やっぱり怖かったです。
「どうして、怒っているのに笑っているの?」
「……、子供の見る目はやはり違うな」
すぐに崩れた笑顔の下は、氷みたいに冷たい無表情でした。
「本当なら、今すぐにでもお前を殺したいけど……。彼女に免じて生かしてあげる。なるべくがつくがな。
そうして、演じてあげよう。彼女が俺との愛し合う将来を考えているらしいから、その場面を。
一応は俺たちの子供――設定にすぎないが、これぐらいもこなさなければ彼女に悪いからね。
笑って接してあげよう。ただ、ミナナを愛さず、愛されたいと思わないように」
そう言って、お兄ちゃんは笑いました。
さっきよりとても柔らかくなった笑顔なのに、やっぱりお姉ちゃんの前で出すものとはちがくて。
「お兄ちゃんは、お姉ちゃんの前じゃなきゃ笑えないんだね」
「だろうね」
ワタシに向けた作られた笑顔は優しくても、冷たかったです。


