「売る……?」
「あの人は、あなたとどんな関係?」
「パパ。新しいパパ」
「あー、じゃあ、家には帰りたくないね」
家――帰りたいけど、帰れません。
ママは好きだけど、パパが怖いからです。
こくりと頷きました。
お姉ちゃんは目を細めて、まいったなぁと小さく言います。
「親戚とかいる?」
「わかんない……あ、わかりません」
お姉ちゃんはワタシよりおっきいので言い直しました。
「警察に行く?保護はしてもらえるとは思うけど……一人で行くのは危ないか」
「場所わかんない、です……」
「場所もあるけど、一人じゃ襲われるかな。私、警察行けないんだよね。大人の事情で」
おとなのじじょうは、よくママが言います。
夜になると、ママとパパの寝ているお部屋から変な声が聞こえたので聞いたら、そう言われます。


