「せめて産まれた子供には、人並みの生活をさせたい。――これだけの感情があれば、母親にはなれますよ」
――自分が、人並みではなかったから。
その苦しみを味あわせなければいいと、思った。
「まあ、あなたが嫉妬に狂い、殺さなければの話ですが」
「そこを突かれると痛いなぁ。なるべくは努力するけど。ああ、そうか、ミナナが子供以上に俺を愛してくれればいいんだよ。そうしたら、僅かながらに殺す確率は減る」
「それでも僅かしかでしかないんですね」
「だって、ミナナを愛していいのは俺だけだし、ミナナが愛していいのは俺だけなんだから。他人なんて要らないよ」
その気になれば、全人類を敵にしても構わないとなる彼は言う。
「ミナナだけでいいんだ、俺は」
隣にいるのは君だけでいい、と。


