「んー、“似ている”んだ。まったく同じじゃないからそこがいい。あと、血の匂いなんかじゃないよ。
フローラルよりも優しく、薔薇よりも魅惑的で、バニラエッセンスよりも甘い綺麗な香り。
俺に溺れ、染まりつつあるミナナの香りだ」
「染まり……」
顔をあげた彼が、月みたく笑う。
「ミナナは俺色になっている。俺が愛し、また君が俺を愛しているから。二つでありながら、一心同体。
俺が汚いから、ミナナ独自の魅力がそこを訂正しているのに――ほら、君は俺と根本的には同じだ」
彼の指先が唇を撫でた。
――硝煙の匂い。
銃しか連想できない香りは、ああ確かに。
「腑に落ちない」
納得するしかないのに、釈然としない気持ちになった。
「とりあえず、そんな愛するミナナを俺は離さないよ」
「勝手にしてください」


