そうして神田は結菜と仲良くなり、たくさん話して、たくさん遊んで、喧嘩することもあった。



一緒に過ごす度に神田は新しい結菜が見れた。




情に厚く優しいところ、一度決めたことは必ずやり通すところ、意外に子供と動物が好きなところ……。



『いろいろあったね…。』


神田は眼を開いて立ち上がり、小さく呟いた。

神田の声は誰もいないお墓で風に吸い込まれていく。



不思議と今はそれが気持ちいい。



『結菜、私ね、春から大学生になるんだよ。』



今は2月。
もうすぐ高校の卒業式を迎える。

結菜は卒業後働くって言っていた。


だからそれまでたくさん遊ぼうねって約束していた。



……ほとんどが神田が無理矢理約束させたものではあったが。




でも、叶わなかった。




結菜は、もういない。




もう、あの優しい笑顔を見ることはできない。


もう、2人で一緒に時間を共有することなど出来ないのだ。



出来ることならもう一度。


もう一度、会いたい――…