双華姫~王の寵姫~

紗里の内心など手に取るように分かる王だったが、ここで手を休めるわけにもいかない。




一人でも暗殺を企む者を減らしておかなければ、那智父からの攻撃は終わらない。




冷徹非道な王にも煩わしい者はあるのだ。




それが那智の父。切羽詰まっているのはお互い様だ。



「どうなのだ?贈り物はあるのか?3度目はないぞ」




大の大人の男性でも逃げ出したくなる声が、紗里の静かな部屋に響く。




紗里の肩がビクッと震えたのを王は見逃してはいない。



震えを抑えるように紗里は下を向き話す。



「贈り物は処分させた為ここにはございません」






証拠がなければ何もならない。紗里は那智がやったと言えないし、那智も決してやってないとは言えない。




馬鹿な者に対してはごまかせる上手い手ではある。





(それが余に通じると思っている時点で馬鹿な女なのだ)



冷笑が漏れる。



「それでは確証がもてぬ。有栖川の名を語った者の仕業かもしれぬし、証拠もないまま有栖川の家を責める事は余にはできない」