父の様子で那智は、後宮か朝廷で何かあったのだと感じ取る。




「父上・・・何かあったのですか・・・?」




父から返事がない事が・・・何よりの返事だった。




急いで飛び出そうとする那智を、父が止める。




「那智!!どこに行く気だ?」



分かっているだろう答えを、それでも父は聞いてくる。



「帰ります」



一言告げ部屋を出ようとすれば、父が急いで侍女を呼ぶ。




かけつけた美沙と数名の侍女に、父は那智を部屋から一歩も出すなと命じた。




「父上・・・・何故ですか・・・・ちちうえー!!!」




侍女にかつがれるように連れて行かれる那智の叫び声が・・・・父の耳から離れなかった。