「だが、黒乃魔力は多用しない方が良い」 「なぜ?」 「戻れなくなる」 「戻れなく……?」 「おまえ、『契約者』だろう?」 うっ、なぜそれを。 「……なんのことでしょう?」 あたしはとぼけた。 『契約者』とは、魔物と契約を交わした人間の通称。 残念ながら、あたしもその一人。 『魔王を倒さない代わりに世界の半分を受け取る』 ……という条件に合意した時点で契約は成立。 成立しちゃったんだよね。