あたりには肉の焼ける嫌な臭いが残った。 ふっ、他愛のない。 「大したものだな」 女の声!? 誰? 木の陰から女が現れた。 きれいな女、きれい過ぎる女。 笑みを浮かべているが冷たい印象。 どこか氷のような女だ。 この雰囲気、人ではないわね。 魔物……かなり上級の。 面倒くさそうなヤツに見られちゃったわね。 「だっ……どなたですか?」 だれ? と言いそうになり、あわてて言いなおした。 いま『黒騎姫』中だから、丁寧口調じゃないとね。