でも、もうひとりのあたしの声。



―― ソノ ショウタイ ハ マオウ



 ……仮面があたしの表情を隠してくれた。

 ダメダメ、いまは考えないようにしなきゃ!



 いま必要なのは。

 厳しい現実へ立ち向かう勇気。

 自分を信じてあげる勇気。

 過ちを正す勇気。

 黒騎姫になるのは、正体を隠すためじゃない。

 勇気を出すための、あたしのセレモニー。

 そして、あたしの『計画』――あたしを陥れた『あの魔王』をぶっ倒す――を達成する。

 絶対に!



「黒騎姫っ! 行くよっ!!」

 あたしは鏡に映る黒騎姫へ気合を入れた。

 そして、呪文を唱える。

 空間転移の魔法。

 愛しいあの人の元へ。