魔王の切れ長の眼に怪しい光が浮かんだ。

「世界をお前の物にすれば……王子もお前のモノになる」

「だっ、誰が魔王の配下になるものか!」

「配下ではない、共同統治者だよ。世界の半分はお前の好きに統治すればいい。人間の王と同じように統治してもいい」

「……」

「それなら愛する王子と一緒になれるだろう?」

「…………」

 少女は剣を振り上げたまま彫像のように固まっている。

 魔王は長い舌で真紅の唇をいやらしく舐めた。

 瞳には恍惚の光りが灯っている。

「……で? どうする?」