――頭がボーとする。

薬のせいだ。

私は気分転換に屋上にいた。

生暖かい風。


カツ! カツ!

背後で誰かが近寄ってくる。

私は振り返った。


そこに居たのは紀山だった。

「久しぶりだね。セーンパイ!」

彼女の手には刃物がある。


だが、私は思考能力さえも、薬によって抑制されている。

「顔色悪いですね。でも、安心してくださいね。今から楽にしてあげますから」


殺される。


頭の中でそう分かっているのに、恐怖が湧いて来ない。


これは、ある意味ラッキーなのかも…。

殺すなら殺しなさいよ。


声には出せないが、目で訴えた。