「数日前から、姫野さんは精神棟で過ごしている。安全だ」

「だから、何も分かっていないですよ」

「さっきから何を言ってる?」

加地はニヤつき、身を乗り出す。


「真犯人を知りたくないんですか? こうしている間にも、姫野さんを狙う犯人がいるんですよ?」


刑事は眉を潜めた。

「誰だ!?」

「教えてほしいですか?」

刑事が首を縦に振る。

「条件があります」

「条件?」

加地は更に身を乗り出し、刑事の顔に触れそうな程の距離に顔を寄せた。

「釈放してください」