車を脇道に停め、私達はインターホンを押した。


ガチャ!

岡田が顔を覗かせる。

「どうしたんですか?」

紀山が前に進み出る。

「ゴメンなさい。話しちゃった…」


岡田の顔が蒼白くなる。


「ち、違う。盗聴機を仕掛けろと命令されたんだよ…」

「誰に?」

私の問いに彼は戸惑う。


「わ、分からない…」


「とにかく、斎藤さんと同じように警察に連れて行きます」


岡田は断念した。


ただ単に、アリバイがなかったのだろうか?


それとも、自分の話しを誰も信じてくれないと思ったのだろうか?