【短】Oneself


『ノートありがと』


「おう。…古田ってさ、字綺麗だよな」


『え?』


「いや、さっきのノートの字見て思ったんだけどさ、確かに古田はいろいろと遅いけど、その分、丁寧だよ」


『……』


「長所だと思うよ。俺は」


そう言ってくれた神宮寺くんの笑顔は、すごく眩しくて、心が温かくなった。


それからの一年は、一緒にご飯を食べる友達ができて、翼くんに告白をされて彼氏ができて、私は居場所を見つけることができていた。


そんな居場所を、私は失いたくなかった。