一年前、授業後に提出しなければいけないノートに、黒板の内容を書き写し終わっていなかった私は、提出に行く当番の若林くんを待たせていた。
「古田、早くしろよ。帰れないだろ」
『ご、ごめん』
遅いうえに焦りも加わって、書き間違いばかりしてしまう私に若林くんは苛立っているようだった。
早く書き写さなくてはと黒板に目を向けると
『…あ』
掃除のため、写し終わっていない部分の黒板の文字まで消されてしまっていた。
「え?あ、ごめん。まだ書いてた?」
悪気はなかったらしく、慌てた様子で掃除当番の島田さんが謝っていた。

