私は闇へと飲み込まれた。 本当にここはどこなのだろうか? 電灯などはなく月明かりだけがたよりだなんて、山形県がこんなにも田舎であることを初めて知った。 「さむ!!」 そして、何より辛いのはこの寒さだ。 まだ10月であると言うのに凍え死んでしまいそうだ。 何か羽織りたい気分でやまやまだが、生憎コートやマフラーは全てバスの中に置いてきてしまっていた。 「はぁ…」 ただひたすらにため息がでる。 ふと空を見上げると、そこには唯一の明かりである月があった。