「ど、どうしたの?」


「ずっとお部屋にこもっておられるので、気になって……」


困った顔でこちらを見る近江


「私は大丈夫だから。……ねぇ、近江。私、お父様とお母様の話ききたいな」


「前頭領と姫様のお話ですか?どのような話がよろしいでしょうか?」


そう言いながら近江は琥珀のとなりに腰を下ろした


「なんでもいいの」


「……そうですね。なら、姫様の話をしますね。私は姫様の女房をしていました。姫様は優しくて、私の憧れでした」


「お母様が近江の憧れの人?」


「はい。お美しく、凜とした姫様に憧れていました。でも姫様はおっとりした方で、毎日が楽しかったです」


近江は両手を自分の前に合わせて柔らかくほほえむ