【第二部】鬼に愛された女



近江はきゅっと帯を縛ると、にっこりと微笑みながら琥珀を見上げた


「今から琥珀様には、鬼神院様に会ってもらいます。……鬼神院様はご存じですか?」


「うん。知ってる」


「頭領になるには、鬼神院様の了承を得なくてはいけません。百鬼家の者ならば、誰でもなれるのですが……」


「ですか?」


「琥珀様は女人です。代々頭領は殿方だけがなるのです。でも、前頭領には男児がおりません」


近江はゆっくりと立ち上がり、真っ直ぐに琥珀を見つめてきた


「男児がいないため、百鬼家直系である琥珀様と優れた男鬼で、どちらが頭領に相応しいのか審査することになりました」