【第二部】鬼に愛された女



「はっ……」


「お前は美月じゃない。美月は、美月は!!」


白雲は縛る力を強くし、何度も美月の名を口にした


「かっ……はな、して」

琥珀は精一杯抵抗するが、白雲の力に勝てず、身動きできない


だんだん意識がもうろうとしてきたとき、ずっと求めていた人の声が聞こえてきた


「琥珀様!」


勢いよく几帳がたおれ、鋼が慌てて部屋に駆け込んできた


「どけ白雲!」


バンッと音がしたかと思うと、琥珀の視界から白雲が消えた