「もう少しましな感想はないのか?」

ランダーは苦笑いを浮かべた。


「だって、他に言いようがないんだもの」


「ここが伝説の城邑だとして、ここの住民達は生者なのか死者なのか……」


「だからあたしに下で食事をさせなかったのね?」


「ああ。俺の故郷では死者の国の食べ物を口にすると、そこから出られないとされている」


ソニアはニッコリと笑った。


「愛してるわ、ランダー」


ランダーはそれには答えず、枕元の剣を手に取った。


「死者ならば、お前の歌で鎮められると思ったのだが」


数々の戦場を渡り歩いたランダーは、死の匂いを嫌というほど知っていた。

どんなに豊かで平和な城邑でも、いつだってそこに何かしらの死はある。

だが、ここではそれが全く感じられないのだ。