けど──、

楽しいかもしれない。


誰かと騒ぎながら作業するのも。


いつもより早く終わった仕事。

お礼を言おうと探した姿は、いつの間にか消えていて。


神出鬼没ってやつか。

まったく!


……仕方ないな。

来週。次に会ったとき。

きっとお礼を言おう。


なんて心に決めて、ひとり頷いて。

どきどきしながら過ごしていたのに。


──それなのに。

どんなに待っても、次の木曜日。

彼は姿を見せなかった。


放課後の図書室は、やっぱり誰も来なくて──。

前は当たり前だったことが、今はなんだかどうしようもなく寂しかった。