この関係が始まったのは、高校一年の冬休み前だった。

あたし、木田美南子と、坂野彰は、クラスでも仲が良かった。

あの日も、放課後、誰もいない教室で、あたし達はいつもみたいに、くだらない話をして笑いあってた。

すると、彰が、急に真面目な顔で言ったんだ。

「俺・・・この冬、転校するかも。」

突然の言葉に、あたしは動揺した。

あたしは、彰のこと好きだったから。

「どうして・・・?」

嫌だ・・・声が震えてる。

「親の転勤で。」

ごく一般的な、どこにでもあるような理由。

けど・・・嫌だよ。

彰と離れるなんて。


「・・・ねぇ、彰だけ、残れないの?」