「それしか得意なことなかったからなぁ。 嫌いっていうか空気みたいな存在だった。 でも、強く、速くなればなるほど どんどん独りになっていく気がして 寂しかった」 そういって実は顔をほんの少し、 ゆがめた。 トップの苦しみって奴なんだろうか。 なんの才能のない あたしにはわからない辛さだ。 あたしは黙ったまま、実の話に耳を傾けた。 「で、走って、走って、わけわからなくなってまわりを見回した時に、ふゆかさんをたまたま見つけて。 正直、最初めっちゃ嫉妬したよ」