「やぁ、チハルさん。

水も滴るいい女だね」


実の明るい声が公園内に響く。



「あんたこそ濡れて、風邪、ひくわよ」


あたしはゆっくりと実のそばに歩みよっていく。


「ねぇ、どうしてあたしだったの?」



冷たい、すだれのような雨が

あたしと実の間をさえぎろうとする。


「見惚れたから」

「え?」

いつもとは違う、

実の真剣な眼差しに、あたしはくらくらとした。