『...ただいま』






「今日はどうだった?」






こんな私を心配してくれる。







それは...






他に居ない。






たった一人。









...翔だけ。







「...榎南?」






返事の無い私を不思議そうに翔は話しかける。






『あ、うん...』






「ほら、夕飯出来てるから」






私は頷いてリビングに向かう。







『はぁ...』






自分の気持ちに気付いてなんだか、もどかしい気持ちになり私は自然に溜め息が漏れる。






それでもいつも通り翔と私、向き合って夕食を食べ始めた。








「そういえば、こないだの男は誰?」






突然の質問に食べていた箸の動きを止める。





こないだ、と言わなくても鮮明に思い出せる出来事。








『帝くんの事?』






「ああ。」