どうしていいか分からず立ち尽くしている俺は、自分の手に違和感を感じてその手を見る。







「…っ…」





そこには榎南ちゃんの手を掴んだ時についたのだろう鮮やかな赤が俺の手についていた。






俺の頭には当然疑問が浮かぶ。







どうして泣いていたのか。





それとどうして榎南ちゃんの手があんな事になっていたのか。






いったい何があったのか。






でもあの傷は、リストカットだと言うのはすぐに理解出来た。






それに、まるで今さっき切ったような…







何気無く顔を上げてみると、不自然に置かれたハサミ。