そう言って私の手に乗ったのは“いちご味”と書かれた飴だった。 『こんなのでつられないけど。』 翔に言われると何故か心が軽くなるんだ。 「でも、喜んでるじゃん?」 やっぱり見透かされてる。 『違うし。』 そんな翔に少し笑いながら私は玄関を出て言った。 扉が閉まる瞬間… 「いってらっしゃい」と翔の声を最後に扉が閉まった。 私も、歩き出しながら小さな声でまた… 『いってきます』 誰もいない道路で呟いた。