「女の子ってめどくさい。」 思わずため息をついた。 「でも、楽しいことも多いよ。」 沙羽はいつでも前向きだ。 「ガールズトークは女の子の特権でしょ?」 いたずらっぽく笑って、沙羽は好きな人の話を聞かせてくれる。 好きな人は彼氏だけど、沙羽はなぜか彼氏とは呼ばずに「好きな人」とその人を呼んだ。 私はそれを誰かは知らない。 なんでって聞いたら、沙羽は「ごめんね。」って謝って悲しそうな顔をしていた。 だから、それ以来私は誰かを聞くことはなくなった。