ぐるぐると頭の中を駆け巡る女の映像。

目が合うと笑う女。

口元だけを歪ませて、目は笑っていない……。


俺は無我夢中で走った。女の映像を脳みそから振り払う勢いで。
このまま街を駆けずり回って車にでも引かれてしまいたい気分だ。

しかし俺は立ち止まり、あることに気づいた。





――俺はやっていない。
殺してなんかいない。



あの女の死体が無くなったほうが俺には都合がいい。

何も問題なしだ。