テキトーは適当に


さすがにのこのこ家に帰っては来ないだろう。凶器にだって指紋がついてるし、前科者だから身元もすぐにばれる。部長もそれを分かって俺をこんな人と一緒に見張りさせたな…何がお守りだ。

「近藤さん、張り込みに行きますよ」

「お、あんぱんと牛乳か」

「…古くないですかそれ」

今度は邪魔されないように近藤さんを後部座席に乗せて、車を走らせる。
すると、後ろから手が伸びてきて目を覆われた。

「ちょ、何するんですか!離してください!危ないじゃないですか!」

「あははは!困ってやんのー」

空いた片手で近藤さんの手をどけると前のトラックにぶつかりそうになった。
はぁ、また冷や汗が…

「おしかったねー」

「なにがですか!」



やっとの思いで張り込みにつくことができた。ほんと、やっとの思いで。
それからジーっとひたすら待ち続ける。来るはずもない犯人を。
途中、近藤さんが助手席に座り、あやとりをしだした。
見張る気皆無だなこの人

「みてみてーダイヤモンドー」

とかなんとかどや顔で見せ付けてくる。しらねーよ。んでもってたいしたことじゃねーよ


「みてみてー」

「今度はなんですか」

あやとりを持ったままの手で外を指差している。
なんとそこには容疑者が!のこのこ帰ってきてんじゃないよ!馬鹿かお前は!
するとあやとりを手からはずした近藤さんは車から出て、
手を振る。…え?手を振るって?

「おーい、けいさつだよー」

「ちょ!なにしてんですか!」

犯人に向かって手を振る。ほんとなんて事をするんだ。あ、ほら、その声を聞いて犯人が逃げていく…

「あー逃げちゃ駄目じゃないか」

その声は棒読みだった。