これほど、胸の高鳴りを抑えられないのはいつぶりだろうか。 ……否、初めてだ。 この歌声に惹き付けられる。 おそらく自分は、この歌声の主に会ってしまうと…確実に溺れてしまうだろうと悟る。 そんな姿、魔界の王には不似合いだ。 いつも威厳を保ち、誰にも揺るがない。 それが魔王なのだ。 けれど、会ってみたいと思うのだから、本能のままに動いてみたらいい。