子も親も選べない。勝手に大人がヤって出来たのが子供。そう考えれば大人が勝手にヤって作ったのだから、責任を持って欲しい。でもどうせ大人は……。


「貴様は幸せになりたくないのか?」

「これは幸せとは言わない。お前には大切なモノは見えているか? 人間だった頃の大切なモノは見えているか?」

「……見えないよ。自殺をしたのだから。辛くて辛くて逃げ場がなくて」

「自殺を悪いとは言わない。だが他人を巻き込むのはやめろ。何が心残りなんだ」


 ――心残りを解決出来れば成仏出来る。自分の気持ちで成仏の道を切り開ける。そして案内され、無事星になれる。もし何かモヤモヤしているのなら、それが先なのだ。


「好きな子に逢いたい。でも分からないんだ」

「そうか。名前?」

「雪瑞 沙恵(ゆきみず さえ)。これが最後の手紙」


 俺はその手紙に手をかざし、今何処にいるのか探る。だが途中で切れてしまう。……既にいないのか、霊能者の元か……。

 次にその子から貰った引っ越し先のキーホルダー。買った場所も剥がされているので分からないのだろう。意識を送りくまなく短時間で探す。


 “いたっ!”


「おい、いたぞ」

「意識を飛ばしてる癖に両方で話せるとはな。ではお前の後をおうぞ」


 ――……北海道、札幌。そこに住んでいるみたいだ。笑顔で友達と話す。そこに恋話が偶然にも出くわした。彼女はこの霊の名前を言い、彼しか好きになれない、そう言った。自殺さえしなければ、結ばれただろう2人は。

 何かに耐切れず、何かを憎しみ、何かを満たされたくさ迷い続ける霊達。他にどんな理由でさ迷ったのだろうか。苦しみ悔やしみ、色々な“心残り”があるのだから、決め付けられない。


「さよなら、相澤」


 相澤 達也(あいざわ たつや)。何かあればまた降りて来い。但し、俺を狙うなよ。俺は俺の人生があるのだから――……。



2011.10.01.土