学校の近くの森という事で俺は奈良、いや、霊の様な者と探した。一応は警戒はしていたが、中々見付からない事に対し、苛々を募らせた。そして一瞬のスキをつかれた。


「ヒャアァァア!」

「うわぁっ!」

「早く見付けろ!」

「うっ、ぐっ」


 くそっ、何なんだっ。人間の身体を操りここまで力強く押し倒し、首を締め付けれるとはっ。


「く、すりと言うのは、ほ、んとう、なのかっ!」


ギュウッ


「……っ!」

「嘘だ、と言えば?」


 どうする! な、何か……。もう無理だ。……あ!


「これでどうだっ!」

「うわぁっ、な、んだ!」

「塩だ、塩。霊だな」

「チッ、バレたのか……」


 この霊は俺を狙ってる霊である。奈良から抜け出た霊を見て、ようやく分かった。やはり俺には勤まらない……。


「俺の何が欲しいんだ」

「全てだ。寂しい想いをして幸せな想い等してないだろ? 俺が癒してあげるのだ……」

「そ、そんなのいらねぇよ! 俺は好き好んで産まれた訳でも母さんを殺した訳じゃない! でもみんなもそうだ。好き好んで産まれた訳じゃない、そう思う人はいる筈だ」


 そう。――少なくとも3人はいる。俺と瑠織、そして香。香は中2で別の人に引き取られて幸せに暮らしてるけど……。