俺は霊の事は全くと言って良い程分からない。父さんから聞いたり頼まれ事で解決は出来る様にはなった。だが、まだまだ分からない事だらけだし本当の怖さもはじめは知らなかった。


「さて、何処に落としたんだよ」

「えっ、はぁ?」

「奈良じゃなく取り付いてる奴」

「眠ってるぞ?」

「はぁ? ふざけんな。てめぇの頼み事だろーが!」


 俺は奈良の身体をゆらゆら……いやぶらんぶらん揺らした。奈良はうわ~と言いながら目が回ってしまった様だ。


「な、なんという爆睡……」


 いや、人間を揺らしても意味がないのか。そんなのどうでも良い。早く見付けて早く出ていって欲しいのだ。

 霊の頼まれ事はかなりの勇気と体力を使う。少なくとも俺は勇気が必要になる。何か合っても自分で解決しなきゃ立派には成れない。自分の身は自分で守ると言うが、まさにそれだ。


「ふあぁ~。よく寝た」

「おっせぇよ! 何処に落としたんだよ!」

「えーと。ふあぁ~。森だった筈だぞ」


 それすらあやふやだな。