俺が産まれてすぐに亡くなった。兄貴は10歳だったので、亡くなった理由が理解出来た。覚えてる範囲では5歳から14歳まで兄貴に暴言と軽い暴力を受けた。霊感がある事にも……。父さんに似た事に悔やんだし、母さんを殺してしまった。
父さんは家にいない事が多かったから兄貴が俺にしてきた事は知らない。俺も言わなかった。そんな兄貴でも教師の道に進んだ。頭はかなり良かった。俺は数学だけが成績が伸びず笑われた。
「兄貴は数学担当だもんなぁ」
今は全く関わっていない。だが父さん宛に手紙が来てて声をだしながら読む癖がある父さんなので、否もなく聞えてしまった。
俺は未だに将来の夢がない。霊感合っても何も役には立たない。嫌々霊の相談所を開くわけにも継ぐわけもない。きっとくだらない人生を歩む筈だ。
「……で、何の用だ」
「薬探し、するのか?」
「はいはい分かった。今日は帰るから付き合うよ。ただ奈良に説明しなきゃ……」
「記憶返してやるよ!」
いや、返してやるってちょっと可笑しくないか? それに記憶ぶっ飛んでんだからびっくりするだろうな。……ましてや転校生相手に。
「おっ? 気持ち悪い。って! 君、新風だよね」
「あ、嗚呼。直球に言わせてもらうが妖の様な霊の様なのが取り付いてる。奈良も薄々あるみたいだ」
「あ、やっぱり風邪じゃなかったのか。新風、お前見えるのか? 幽霊とかそういう化け物」
「化け物なんかじゃないさ。何もしなければ悪い事はしない。何か恨みや憎しみがない限りは」
何かモヤモヤしているからさ迷ったり怖がらせたりするのだろう……。例えば、自分の指輪を落としてしまい誰かが拾いそのままにしていれば亡霊か生霊が取り返そうとするのではないだろうか。必ずとは思わない。

