急遽、1時間目から3時間目まで実習となった。クラスメイトは大喜び。数名、真面目ちゃんがいるが完全ではない。
「なぁ、ナラン……なんとか! お前、何の能力があんだ? 無いからやめたのか?」
「……」
「無視するなよ! ナランなんとか! どんな学校なんだよ。きっと色んな能力の持ち主の集団なんだろうな」
お前ら迷惑という言葉を知らないのか。能力に興味津々は良いが、いざ知ると暴言吐く癖に何故なんだ? 見えないモノを見えると嘘をついたからだろうか?
「お前ら煩い。黙れ」
「何だよ、新風」
「煩いから煩いと言った」
俺が途中から通い始めた時も転校生扱いだった。奈良みたく黙り込みはしなかった。煩いとか黙れとか、そんなのばかり。
突然、奈良が喋った。俺は一瞬ヒヤッとしたが目の色は変わっていなかったので一安心した。もしここで化け物が喋ると、後片付けが面倒くさくなるからだ。
「ナランキュラス。ナランなんとかじゃない。それに奈良で良いから。黒板見たら分かるだろ」
「キュラスつーのか。奈良は日本の名前か?」
「そういう訳じゃないけど。前の学校で先輩につけられただけ」
だから呼ぶ時は奈良なのか。ナランキュラス、忘れそうにはない名前だが。勉強もしない馬鹿してるお前らには分からないのか? 勉強しない奴が馬鹿だとは思っちゃいねぇけど……。
俺は男子生徒を無視し、推理小説を読み始めた。本当は推理小説じゃない。霊能の本であり、バレない様に推理小説の表紙をつけた。市販のブックカバーを買う程不便は感じないのだ。

