「大丈夫ですよ? 君こそ大丈夫ですか?」

「あ、ああ。大丈夫……」


 そういうとヨロヨロしながら歩いて行った。


「ごめんなさいね。って、同じ学校だったの? ルカ、息子ね今日転校したばっかりなのよ」

「そ、そうですか。……余計な事かもしれませんが息子さん、ちょっと危ないですよ? では」


 それだけを言って走った。きっと何が? や何故分かるの? とかだから。一応は忠告はする。接触すると分かるのである。

 小学校や中学校では見えないものが見える、と分かればみんな近寄らなくなった。初めは声をかけてくる。……けど、何もないところで叫んだり喋ったりしてるのを知られると冷めた視線。高校では人と関わらず孤立を選んだ。


「みんな、おはよう!」


 今日も朝から張り切る体育の先生。俺はこの先生が大嫌いなんだ。先生ならみんなそうだが、成績が高い生徒ばかり褒める。

 校門をくぐり抜けそのまま生徒玄関に行かず中庭に行く。理由はすぐに分かる。


「……何の用だ。……貴様!」


 そう言い、後ろを振り返り数珠を取り出した。そして金縛りをかけたのだ。


「ウガッ……。き、貴様っ!」

「その子から離れなさい。そして一切に誰にも入るなっ!」

「ウグッ! 無理……だ」

「……何故だ? 自由か?」


 霊にも何かが心残りで取り付くのだ。――……何かを守りたくて何かを求め何かが欲しい。ある霊は亡くなった恋人の後を追ったが、世にさ迷ってしまった。


「……違う! ある物を探してんだ」

「ある物? 貴様、霊じゃないな?」

「人間には不思議な生き物と呼ばれてるよ……。まさか人間が我々が見えるとはな」


 不思議な生き物……か。妖とかか? 海に現れる化け物じゃなかったか? そんな事は良いのだが。