新風 東雲(あらふう しののめ)には隠し通して高校生活を送らなければない。それは、霊能者であるからだ。

 霊の事はまだまだ分からない事だられけで、命を落とすところまで霊に殺られた。霊には様々な理由で襲ってくるものだ。想いが強いと人間を怯えさせてしまう。


「父さん、兄貴来るって。……あ!」

「東雲! お客様いるんだぞ」

「浅田、また取り付かれたのかよ?」


 浅田 真樹(あさだ まき)。中学の頃に霊に取り付かれて払ってやったのだ。浅田はよく霊に懐かれる。良い霊が大半だが、今回はちょっと……。


「知っているのかい? 真樹さん?」

「あ、はい。中学の頃に助けて頂いたので」

「今回は気を付けろよ。前回よりややこしいぞ」


 それだけ言い、部屋を後にした。だって絶対今回のには関わりたくないのだ。どう対処すりゃあ良いのだろう。それに父さんに依頼してきたのだから、父さんが解決して欲しいものだ。

 霊が見えないフリをすれば、普通の人の様に暮らせるし頼まれ事もなくなるのだから。ただ、懐こい良い霊はうろうろする。避けるのでそこで見える、とバレてしまうのだが。


「おーい、東雲。今回のもやってみないか?」

「はぁ? 馬鹿じゃねぇの。俺を殺す気か?」


 人の気も知らないで。いや、霊感に対して不快な気持ちだという事は知っている筈だ。ならば、何故わざわざ俺なんだ? 自分が苦労したくないからだろうか?

 そんな事より俺には学生だ。少しは学生らしくさせてくれ。今回の霊は無理矢理封じない限り、俺には無理だ。説得したところで、はい、そうですか、じゃない。