声をかけて来たのは、ラブのほうだった。



「こんばんわ」




僕も、「こんばんわ」と返した。




「海、綺麗ですね」




「…そうですね」




そんな始まりから、僕らはお互いが一人旅で、昼間はどうやって過ごしたのか話したり、どこが楽しかったかを話したりした。
そして、ラブは、僕より年上だと知って驚いた。
同い年くらいに見えた。



「お酒でも飲みに行きませんか?」




僕は思いきって誘ってみた。



ラブは、「いいよ」と、笑いながら答えた。


ホテルのバーでお酒を飲んだ。
とても楽しかった。
僕らはほろ酔いで、バーを出た。


広いホテルの中をお互いの部屋へ向かって歩いていた。


僕の部屋は10階で、ラブの部屋は12階だった。



エレベーターに乗ると、なんだかお互い静かになった。



僕の降りる階でエレベーターは止まった…


僕は、気が付いたら、ラブの手を掴んで、一緒に降りていた。


僕の部屋で、僕らは一度だけ関係を持った。


抱きしめた時のラブの柔らかい肌の感覚が、まだ残っていた。