それ、ください




「…椎(シイ)だけど」



無愛想にそう答えた。




あたしの下の名前を知っている人なんてどれほどいるのだろう。




学校の友達ですら、知らないんだろうな。




親は…一応知ってるのかな?





そんなくだらないことを考えて、後悔した。





思い出したくない声が、頭に響く。




『椎っ♪あたしたち親友でしょ?』




『好きだ…椎』




頭を思いっきり振って消す。





一体いつになったら、この声はあたしから離れるのだろうか。