それ、ください





しばらくたって、泣くだけ泣いたあたしは、疲れきっていた。




真っ赤にはれた目も、落ちかけた化粧も、今はどうでもよかった。





「大丈夫…?」




杏華があたしに問う。





心を開いたわけじゃないけど、今のあたしは抵抗する元気すら残っていなかった。





小さく頷けば、杏華は笑顔になって。






「あたしはね、杏華っ!彼女…名前は?」




あたしのことを彼女と呼びながら、そう言う。





本当に、よくしゃべる子だと思った。





「…梅野」




叫びすぎて枯れた声でそう答えれば、





「そうじゃなくて、下の名前~っ」




と再び問われる形になった。