それ、ください




「何…がよ…」




思わず声が漏れた。




深い黒をしたその瞳は、まるでこの夜のようで。





全てを見透かされている気がして、あたしは目をそらした。






意味が分からない。





抱え込んでるものなんてないのに。





ないって言い聞かせてきたはずなのに。






手が震える。






感情を捨てて、心まで捨てたあたしに、涙なんかは流れないけど。






ただ、怖かった。





初めて会った人にバレるほど、あたしは感情を捨て切れていないと思うと、ものすごく怖かったんだ。